「夢瞳は覚えてる?」 遅かった梅雨明けが終わって今日は快晴。 わたしに振りほどかれた手を 月に伸ばして照が聞いてくる。 まるで届けば掴めると思い込む子どもみたいだ。 「何…を?」 落ち着かないわたしは 自分の質問に答えてはくれないのに つい、 照の問いには答えてしまった。 「明日から夏休みだね」 穏やかな低めの声で楽しそうに告げて 魅力的に笑う。 わたしだけに向けて。