翌日の涼は案の定。
嗚咽にも似た声を出して、泣いている。

『ホントにごめん。二度としない。僕がいけないんだ。弱いから。』

繰り替えされる毎日。
その言葉を聞いた私は、涼を抱きしめる。
大丈夫。大丈夫。髪を撫でる。

「私は、涼を見捨てたりしないから。ずっと一緒にいる。約束する。」

安心した表情の涼は、子供のように微笑んだ。

二人で買い物に出ると、荷物はもちろん持ってくれる。
やさしい、気遣いもしてくれる。
頼もしい一面もある。
私を一番に考えてくれている。

何より・・・

愛してくれている。


・・・ただ。


一つだけ。


彼は、アルコールが入ると人が変わる。


それも、ドメバイ。



私の体と心は、深みに嵌り、身動きすら取ることができない。
・・・ましてや、離れることもできない。



・・・・


私は、昔の記憶から遠退くように、順ちゃんのお店に視線を戻した。
いつの間にか、お店には人が、たくさん入っている。
順ちゃんは急がそうに、各テーブルに顔を出していた。


私は、カウンターにお酒の代金を置いた。
お客さんと話をしている順ちゃんに目配せをした。

(もう、帰るね。)の合図。

啓は、私が立ち上がったのを確認すると出入り口まで、出てきてくれた。
『ありがとうございました。』
元気のいい彼を見ると、うらやましくなった。