それからのあたしの瞳は、せわしなく一つのものに対してだけ動いていた。 自分でも気付いてないほど、あたしは郁ばかりを見ていた。 「早紀、何見てんの?」 楓が背中をポンッと叩いて聞いてくる。 「ん〜、別に〜」 「…なんかそうやって言う時の早紀って」 「なによ」 「…好きな人でもできたの?」 「はぁ!?」