「強いフリして、ほんとはこうやって泣いてるのに」 はっとして涙を拭う。 「誰にも言えないなら、僕だけに言えばいいんじゃない?」 「郁…」 郁はあたしの方を向かずに、頬ずえをついて、夕陽を眺めていた。 郁。 郁だけが、あたしを。 …ちゃんと見ててくれたんだ。