さて。
戸締まりが済んだ所で私は歩き出す。
季節は春。
私が昔々住んでいたヨーロッパでは、まだ雪解けすら始まっていない時期だったけれど、日本というのは住みやすい環境だと、数百年住み続けた今でも思う。
何より。
「……」
小さな公園のほとり。
桃色に染まる大きな木を見上げる。
この桜というのがまた風情があっていい。
暖かくなってきた風に舞う淡いピンクの雪。
その一枚が制服の肩にヒラリと落ちてきても、払い落とす気分にはならない。
むしろちょっとした贈り物を貰った気分。
そのまま、弾むように歩く。
…日陰ばかりを歩いてきた暗闇の女が、花を愛でて風情を語る、か。
思わず苦笑いする。
よくもまぁ、ここまで変われたものだ。
雪解けが始まっているのは私も同様らしい。
戸締まりが済んだ所で私は歩き出す。
季節は春。
私が昔々住んでいたヨーロッパでは、まだ雪解けすら始まっていない時期だったけれど、日本というのは住みやすい環境だと、数百年住み続けた今でも思う。
何より。
「……」
小さな公園のほとり。
桃色に染まる大きな木を見上げる。
この桜というのがまた風情があっていい。
暖かくなってきた風に舞う淡いピンクの雪。
その一枚が制服の肩にヒラリと落ちてきても、払い落とす気分にはならない。
むしろちょっとした贈り物を貰った気分。
そのまま、弾むように歩く。
…日陰ばかりを歩いてきた暗闇の女が、花を愛でて風情を語る、か。
思わず苦笑いする。
よくもまぁ、ここまで変われたものだ。
雪解けが始まっているのは私も同様らしい。


