魔女の瞳Ⅴ

そう、これが狙いだった。

『氷柱』の魔術を武羅人に直接行使した所で、彼に通じないのはわかり切っている。

だから狙ったのは私自身の紋章。

氷の槍で紋章を貫通させる為に、私は魔術を行使したのだ。

「く…ぬかった…!」

この戦いで初めて、武羅人の表情が悔しげに歪んだ。

「稀代の魔女にチャンスを与えようなんて、驕りたかぶった態度がどれ程の身の程知らずかわかったかしら?」

鍵穴であるデッドゲイトの紋章。

それを貫いた事で、禁呪の発動は成った。

あとは異界の門たる私自身が魔力をコントロールするだけで、この世界は死の世界と直結する。

生者の存在を否定する世界。

命を許容しない世界。

開門した瞬間、どれほどの強者であろうと、その生命は虚無に返される。

足掻こうと、抗しようと、皆に等しく死が訪れる。

それは回避も防御もできない。

ましてや再生という概念すら関係ない。

絶対の死の魔法だった。