魔女の瞳Ⅴ

武羅人が余裕の表情で私の前に立つ。

「さて…なかなか愉しい喧嘩だったが、ここまでだ…奥の手を封じられたお前に、一度だけチャンスをやるよ」

彼は両手をダラリと下げ、無防備になる。

「何でも好きな魔術を撃ちな。俺もただ痛めつけるのは性に合わない…最強の魔女が何の抵抗も出来ず敗北なんて格好がつかねえだろ…このチャンス、活かしてみせな」

「く…」

馬鹿にして…。

私は屈辱に歯を食いしばった。

この状態で一体どうしろっていうのよ。

武羅人にも再生能力がある。

どんな魔術を行使した所で、奴は完璧に傷を回復させてしまうだろう。

たとえ炎で燃やしても、雷で撃っても、風で斬り刻んでも、氷で凍えさせても…。

「……!…」

待てよ。

この窮地に追い込まれ、私の中で何かが閃く。

『どんな時でも冷静たれ』

魔術を行使する者の心構え。

その冷静さを失わなかった事が、私に最後の最後で勝機をもたらした…!