魔女の瞳Ⅴ

私だって何の準備もなく逃げ回っていた訳じゃない。

逃げながら左手に溜め込んでおいた魔力を。

「!!!!!」

アスファルトに叩きつける!

途端に地面から突き出してきた無数の氷柱が、武羅人の全身を貫いた!

『氷槍』の魔術。

串刺しにされ、武羅人は身動きが取れなくなる。

彼の事だ、この程度で死にはしないだろう。

だけど手も足も氷の槍で貫かれた状態。

この状態から脱出するのは時間がかかる筈。

この隙に私達は武羅人から逃げる。

そう考えての戦術だったのだけど。

「嘗めやがって…!」

武羅人の手足を拘束していた氷柱。

その氷柱が、ミシミシと悲鳴を上げ始めた…!