魔女の瞳Ⅴ

「貴方のエゴに付き合わされるこっちの身にもなりなさいよ！」

思わず怒鳴る。

しかし。

「知らねぇな」

腕組みしたまま、武羅人は平然と切り返した。

「お前もこの世界に生きているなら知ってるんじゃないのか？亜吸血種は闘争本能を満たす事こそが本義。『エゴ』の為に俺達は生きてるんだ。闘う理由がねぇから闘いたくねぇってのがお前らの『エゴ』なら、最強の魔女と派手な喧嘩がしたいってのも俺の『エゴ』…どっちを優先するかは言わなくてもわかるだろう？」

「なんて勝手な理屈…！」

歯噛みする私の目の前で、武羅人の体が躍動した！

「勝手で結構！そういう生き物なんだよ、俺達は！」

車の屋根から跳躍！

武羅人は再び私達に襲いかかってきた！

「しつこい！」

私は修内太の手を取り、また『飛翔』の魔術で武羅人から逃げる！

当然、武羅人も追ってきた。

高速走行する車の屋根から屋根へ。

まるで飛び石のように跳躍しながら、私達を追跡してくる！