魔女の瞳Ⅴ

「とにかく」

哲平は背を向ける。

「お前にも世話になった事があるからな…黛さんが随分心配していた…必ず伝えてやってくれという事だったんでな」

「うん、ありがとう」

私は哲平を見る。

「黛によろしく伝えておいて」

「……」

私の返事を聞いた哲平が、鳩が豆鉄砲、といった表情をする。

「…何よ」

「驚いた…四門…お前素直に礼が言えるんだな」

「……」

全く、どいつもこいつも。

私を一体なんだと思っているのだろう。

憮然としていると、私の心中を悟ったのか哲平が言った。

「気を悪くしないでくれ。何というか…」

哲平は笑う。

「稀代の魔女とやらが、変わったなと思ってな」

「フン」

私は鼻を鳴らす。

何よ、全然フォローになってないわよっ。