魔女の瞳Ⅴ

午前の授業が終わり、昼休み。

私は修内太と共に校舎の屋上へと向かう。

この時期は屋上から御影市の各所に咲く桜が見渡せ、とても眺めがいい。

「メグも変わったよなぁ。桜見ながら食事がしたいなんて、まるで普通の女の子みたいじゃないか」

紙パックのカフェオレを飲みながら、フェンスにもたれ掛かった修内太が笑う。

「…悪かったわね。どうせ魔女に乙女チックなのは似合わないわよ」

私はサンドイッチを一口食べ、彼をじと目で睨む。

…悪態をついてみたりはするものの、修内太はこの御影市において一番気のおけない相手だったりする。

戦友、師弟、相棒。

ん…まぁ…何となぁく好意みたいなのも抱いていたりいなかったり。

何にしろ、頼りにしている存在だという事だ。

ポツリポツリと会話を交わしつつ、二人で昼食をとる。

その時だった。

「ここにいたのか、四門、宮川」

小山田哲平が屋上のドアを開けたのは。