「あ、あたしの隣の席、空いてる。

ここ、きちゃいなよ、ユー。」


 ん?おかしなことを言い出す夢樹。

 そこは、遅刻している長沢の席だろうが。

 しずかは俺の横だろうが!!


「あ、そこ、イイね。」


 さっきまで子供のように泣きじゃくっていたかごしまがけロっと同意する。


 おい、担任!!!

 長沢はー???


「ほらほら、しーちゃん、ここおいで~」

 夢樹!!お前ってやつは!!

 お前ってやつは!!


 あぁ!!俺のしずか!!


 そんな、でっかい悪魔に近づいてはいけない!!


 


 そんな俺の心の叫びもむなしく、しずかは

「夢樹ちゃん、よろしく」


 と長沢の席に着いた。




  ガラガラ


 俺の横のドアが開いた。


 ナイスタイミング、長沢!!


 ただのセックスマシーンじゃなかったんだな!!


 俺のしずかをこの万年発情期男に近づけてはならない。


 しかし、今は長沢の存在が必要だ。


「あれ、俺のつくえ…」


 チラッと俺の横の真新しい机を盗み見る長沢。


 こいつもでかいな。


 186.3だ。くそ。


「なーに、新手のいじめー?」


 まだ湿ったボサボサ頭をかきながら、長沢は俺の横の机を引きずって行った。


 髪が湿っているのは大方女のところにいたんだろう。



 じゃなくて、なぜ?なぜ、机を持っていく?


 おかしいだろ!!


「あたらしい、机~♪」


 そして、長沢は転校生と、浅岡の間に机を押しこんだ。


「あれ、長沢、きたんだ。

この子、転校生。」


 夢樹がしずかを顎でしゃくった。


「ども」


 長沢が会釈をした。


 まずい、非常にまずい。


 夢樹、長沢、しずか、と机が三人くっついちゃってるじゃないか!!


 そんな三つ巴だよ!!


 しずかー!!妊娠するな~!!