チャイムが鳴った。

 俺には歓喜のファンファーレのように聞こえた。


 8時半のホームルーム開始時間から2分遅れて、クソ担任が入ってきた。

 どうやら、転校生を廊下に待たせて俺たちをもったいぶらせるつもりらしい。

 茶番だ。




 ちなみに、うちのクソ担任は、鴨志田 高明(たかあき)という。

 夢樹をはじめ、うちのクラスでは『かごしま』と呼んでいる。

 意味は全くない。

 全力で鹿児島県民の平謝りしたいくらいだ。

 身長は俺よりもチビで162センチ、32歳にして未だ童貞との噂だ。

 そして、『劇団シーズンズ』と北海道オタクの群馬出身だ。

 


 かごしまが教卓に立って、緊張した面持ちで言った。

「えー、コホン。

おはようございます。

みんなもうすうす感づいていると思いますがー」

 だんだん笑顔を隠しきれないクソかごしまがイラつく。

「今日はー、このクラスにもう一人、大切な~

仲間が増えます!!

えーーっと、入ってきてもらえるかな~?」


 と、かごしまはしまりのない顔を廊下に向けた。

 クラスのみんなもじーっと前のドアを見つめている。

 夢樹に至っては、机からたち、フラフラ前に歩きだしている。

 まるで小学校の学級崩壊の原因になってるやつだ。



  ガラッ




「---ッ」



 俺はケータイ小説的運命の出会いをした。