宝田と呼ばれた男が微笑みながら、夢樹に軍手を差し出す。


「よかった、やっぱり、浅岡さんのだったんだね。」


 小鳥たちも軍手が持ち主のところに戻ってきたのを祝福しているようだ。

 物理的に身長はあまり変わらない宝田と夢樹だが、後光のせいでか、やや宝田の方が大きく見える。


「あ、アリ、ありがとう!!」


 夢樹には宝田から差し出された軍手がビロードの素敵な手袋に見えている。


 宝田は口元にほほ笑みを残しながら、百合やフリージアを背負って、夢樹に背を向けた。




 夢樹は一気にビロードの手袋が軍手に変わったのを見てびっくりしている。

「うぎゃっ!!」

 すっかりおちつきを取り戻したゼロが夢樹のところへと歩いてきた。



 レー美の描写は本人の了承を得ることが出来なかったため、割愛させていただく。



「浅岡、お前、やっぱ、運動神経、いいな!!

さすがジャングル育ちだよ。

あ、やば、さっき400ページにもおよぶ長編読んでたから、

ケータイ充電ないんだった。

じゃ、俺、戻るワ。」



 ゼロは美少年らしく惨事には触れずに去って行った。




 夢樹は宝田の拾った軍手を頬にスリスリして、撫でて、においを嗅ぎ、恍惚としていた。



「やっぱ、宝田君、カッコイイ」



 みなさんは覚えているであろうか。

 夢樹の拾ったゴミを。


 カン

 ビン

 そして、なぜか張り付いたエロ本、である。