よく晴れた月曜日の都内の公園に野生の奇声がこだました。

 今日は私立米泥(こめでい)高校のクリーンアップ大作戦の日である。



「ああああ~~~~!!!

クソッ!!!

せっかく私が主人公なのに~!!

どうして今日が入学式じゃないんだ!!」


 一人の背が異様に高い女がつけていた軍手を外してぶん投げて言った。
 

「フン、うちのバカな校長が決めた掃除の日じゃない。

ちょっと、夢樹、アンタ、軍手こっち投げないでよ。

ネイルにくっついちゃうじゃない」



 ジャングルジムに座ったままお気に入りのマニキュアを塗っている女が巻き髪を優雅に揺らしながら言った。



 夢樹は、カン、ビン、なぜか張り付いたエロ本が入った袋を振り回して騒いでいる。

 燃えるゴミも燃えないゴミも資源ゴミもごっちゃである。


 夢樹はマニキュア女の反対側からジャングルジムによじ登って目を輝かせながら言う。


「やっぱ、入学式といえばぁ~

『きゃーん、せっかくの入学式なのに遅刻だよぉ』

ってなって~」

「いやいや、アンタ、いつも七時前に学校ついてるじゃないのよ。」




 この高校の朝のホームルームは8時半からである。