この先の出来事に思いを馳せて。


事を掻き混ぜる言の葉を、笑んだ唇の端に乗せて。

ドラクは青年に言った。

「ならば行くがいい。まずはそなたの好い人だ。馬鹿な女を救えるかな? 粛正者は女、子供にも容赦ない」

「どう言う意味だ?」

「そのままだよ。嫉妬に狂った女は、浅はかだからね」


青年は、ドラクの言葉もそこそこに踵を返して部屋を出る。

彼は、誰もいなくなった部屋でそっと呟いた。


「君が会ったのは探偵の津那魅君でしょう? 扇小夜子の式神、粛正者、扇津那魅では無い……。それが、『他国との大きな違い』なんだよ」


『取りあえず、おてなみ拝見とでも行きましょうかね……』


傍観者を決め込んで、ドラクがクツクツと笑う。

津那魅の言う通り、本当に癖の有る男であった。