異風人

目の縁、鼻筋、唇を、白く象っているので、顔の輪郭が辛うじて判る。この顔からは、細やかな顔の表情を知る事はできない。居酒屋の民を寄せ付けない、不気味ささえ感じさせる。この澱みにおいては、例の居酒屋の民は皆、異色なのである。不思議なことに、この澱みの中では、肩が触れ合っても隣合う者同士の存在意識はない。民は皆、純度の高い同色であるからである。この澱みでは、山高帽子と燕尾服に包まれた吉平もまた同色なのである。従って、吉平の異様な光は、かき消され、且つ、吉平の威厳もまた皆無なのである。