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『先生の講義を是非聞きたいと皆が言っています』と、裕子が言い残したことが多少気になってはいるが、コズエの居ない店から、吉平の足は遠のいた。吉平にとってただ一つ不足しているのは、世に名を残すことであった。裕子の話から察すれば、コズエは、波紋の論理の軌道に乗りつつあると判断したのである。名を残すには、何が何でもコズエの行方を追わねばならない。吉平の決意は、コズエに向かって一直線であった。吉平の冒険の旅は、ここから始まったのである。
『先生の講義を是非聞きたいと皆が言っています』と、裕子が言い残したことが多少気になってはいるが、コズエの居ない店から、吉平の足は遠のいた。吉平にとってただ一つ不足しているのは、世に名を残すことであった。裕子の話から察すれば、コズエは、波紋の論理の軌道に乗りつつあると判断したのである。名を残すには、何が何でもコズエの行方を追わねばならない。吉平の決意は、コズエに向かって一直線であった。吉平の冒険の旅は、ここから始まったのである。


