幸いにして、だぶだぶのズボンで、脚の骨組みは見えない。二本の脚と、ステッキという二点半の支持によって、辛うじて身を支え前進した。吉平の脳みそには、なお威厳を保つと言うかすかな意識が働いているのである。よく言えば、その姿は、厳しい修行に耐え、悟りを開いたばかりの仙人のようにも見える。庇の奥から視線を送り、店の者全員が見守る中を抜けて、店を出たのである。二人は、先生の歩調に合わせて、後に従った。両脇を支えたのでは、威厳を損ねる。ふたりはそのように気遣いしたのである。そして二人は、タクシーを拾い、送り届けた。門まで出迎えた小夜は、二人にお礼の言葉を述べ、吉平を床の中へと導いたのである。そして小夜は、ご主人様の病が癒えつつあるのを実感したのである。


