「店の若い子も言ってましたわ。コズエに独り占めされたって。先生にお会いしてから、コズエは随分と変わりましたわね」
「その所為ですか?先生が来られる前のコズエは、我々に対しても愛想よくしてくれたのに、ある日を境に何故か見下ろされているような気がしました。我々は、鬱憤とか、浮ついた話しかしないですからね、今思うと無理もないですよ」
「さあ、先生どうぞ」と、裕子は、酒徳利を差し出す。それに応えて吉平は、袖口を少し手繰りあげて、無言のまま杯を差し出した。差し出した手は、力が抜けて重く、且つ、ステッキを抱きかかえていた手が、少しばかりだらりとしている。糸が切れた肢体ではなく、そこには、ショックと酒の酔いが入り混じっていた。
「先生は何時も、ワインばかり召し上がってましたけど、日本酒もお強いのですね?」
「民とこのような酒宴を交わしたのは初めてである」
「解ります。大学教授ともなれば、我々民のような気軽な行動は慎まなければいけませんからね」
「その所為ですか?先生が来られる前のコズエは、我々に対しても愛想よくしてくれたのに、ある日を境に何故か見下ろされているような気がしました。我々は、鬱憤とか、浮ついた話しかしないですからね、今思うと無理もないですよ」
「さあ、先生どうぞ」と、裕子は、酒徳利を差し出す。それに応えて吉平は、袖口を少し手繰りあげて、無言のまま杯を差し出した。差し出した手は、力が抜けて重く、且つ、ステッキを抱きかかえていた手が、少しばかりだらりとしている。糸が切れた肢体ではなく、そこには、ショックと酒の酔いが入り混じっていた。
「先生は何時も、ワインばかり召し上がってましたけど、日本酒もお強いのですね?」
「民とこのような酒宴を交わしたのは初めてである」
「解ります。大学教授ともなれば、我々民のような気軽な行動は慎まなければいけませんからね」


