異風人

裕子は、男を虜にする魅力に溢れ、その魅力は、魔力となって男を引き寄せる女性であった。客の全ては、この魔力に惹きつけられてくるのである。勿論、この二人もそうである。その上裕子は、客を逸らさない話術の持ち主でもある。短い時間ではあるが、裕子は満遍なく客の席に顔を出すようにしている。客は皆、これだけで満足するのである。吉平の論理には、この魔力を介在する余地はない。
「先ず、客と従業員の違いは、どこにあるのか?これを分析せねばならぬ。即ち、波紋の論理からすれば、客から見ればママに威厳があり、従業員から見ればママに威厳が無いということである。そうであろう!実際の客として、二人とも腹蔵のない意見を述べるがよい」二人は、ママの魔力に取り付かれて、この店に通っているのであるが、
「その通りです。ママには威厳を感じます」と、部長が応え、
「私も、部長と同じです」と、加藤君も応えた。