我ながらではあるが、吉平の論理は、理路整然としており、格調高く、且つ、説得力があった。二人にとっては、吉平の論理は絵に描いた餅のようである。三人の会話は、弾んだ。この弾みを維持するためには、あくまでも、先生が中心でなければならない。そして、何よりも、大学教授と民との関係において、格差を意識しなければならない。
「先生のおっしゃるのは、御尤もです。ですけど、サラリーマンの世界では、上の者に従うことで、一つの組織バランスを保っております。先生の波紋の論理と、サラリーマン組織の命令系統はどう違うのですか?」
「よろしいかな、加藤君。私の波紋の論理には、命令と言う概念はない。即ち、加藤君自身が鏡面の水面であり、その水面に投ずる部長の石が真実であればの話だが。この二つの間には、命令と言う概念はないのである。従って、波紋は一つであり、その一つの波紋は、大きな輪となって消滅することなく、自然に波及するのである。然しながら、荒波がある水面に、石を投じて波紋を起こさせるには、命令と言う手段を高じて、荒波を打ち消さなければならない。
「先生のおっしゃるのは、御尤もです。ですけど、サラリーマンの世界では、上の者に従うことで、一つの組織バランスを保っております。先生の波紋の論理と、サラリーマン組織の命令系統はどう違うのですか?」
「よろしいかな、加藤君。私の波紋の論理には、命令と言う概念はない。即ち、加藤君自身が鏡面の水面であり、その水面に投ずる部長の石が真実であればの話だが。この二つの間には、命令と言う概念はないのである。従って、波紋は一つであり、その一つの波紋は、大きな輪となって消滅することなく、自然に波及するのである。然しながら、荒波がある水面に、石を投じて波紋を起こさせるには、命令と言う手段を高じて、荒波を打ち消さなければならない。


