異風人

波紋の論理と聞いて吉平の背筋は、更に延びたのである。そして吉平は、語り出した。吉平の語りに裕子は、全てご尤もですわねと、受け止めたのである。そして、所々に、「さすが大学教授ですわね」と、付け加えるのを忘れなかったのである。庇の奥の眼差しは、光を取り戻した。そして、ほぼ何時もの通り、威厳を放ったのである。
やがて時間も経ち、客席は、ほぼ満席状態になる。ここまで来れば大丈夫と裕子は、ひとまず義務を果たして席を立ち、ドアを開けた常連客に、耳打ちする。大方の客は、異様な光を放っている吉平に興味を持っていた。その常連客は、裕子の願を快く受け入れたようである。
「ご主人様、今日は何時もより混みまして、相席願ってよろしいでしょうか?」
裕子は、今日の吉平の扱いを、このように予定していたのである。そして、裕子は、高らかに紹介した。「こちらのお客様は、大学教授です」と。「どうぞよろしく」と、二人の常連客は、同席した。かねてより、二人の常連客は、吉平のことに関して、コズエや店の者から、一部始終を聞いていた。そして、二人の常連客は、あたかも初対面であるかのように、振舞ったのである。