「ご主人様のことは、コズエからよく伺っております。最初から、名誉地位のあるお方だとは思っておりましたけど、大学教授だそうですね。何でも、大変為になるお話しを聞かせてもらって、喜んでいました」
「どんな風にだね」と、その声は、とてもとても、か細いものであった。
「何でも、人が振り返るような綺麗な花を見つけたいと言ってました。私達には、深い意味は解りませんが、ご主人様がいらっしゃる前のコズエとは随分変わったように思います」
さすが裕子は、ベテランである。吉平は、裕子の誘導に、傾きつつあった。操り人形の背筋の糸が、張ってきたのが見えたのである。そして吉平は、聞き取り難いほどの低い声で言った。
「どのように変わったのだ」
「先ず第一に、目に見えて変わったのは、お客様に対する応対です。最初は、お客様として接していましたが、先生にお目にかかってからは、ご主人様と侍女と言うようになったことです」
「そのほかにどんなところが変わった」
「ええ、そうですね。こんなことを口にするようになりましたわね。大学に行って、一色を見つけたいって」
「うん、それで」
「一色って何なのって聞きましたところ、真実と言う一色だと言ってましたけど、私には何のことやらさっぱり解りませんでした。ああ、そうそう、こんなことも言ってましたわね。波紋の論理について」
「どんな風にだね」と、その声は、とてもとても、か細いものであった。
「何でも、人が振り返るような綺麗な花を見つけたいと言ってました。私達には、深い意味は解りませんが、ご主人様がいらっしゃる前のコズエとは随分変わったように思います」
さすが裕子は、ベテランである。吉平は、裕子の誘導に、傾きつつあった。操り人形の背筋の糸が、張ってきたのが見えたのである。そして吉平は、聞き取り難いほどの低い声で言った。
「どのように変わったのだ」
「先ず第一に、目に見えて変わったのは、お客様に対する応対です。最初は、お客様として接していましたが、先生にお目にかかってからは、ご主人様と侍女と言うようになったことです」
「そのほかにどんなところが変わった」
「ええ、そうですね。こんなことを口にするようになりましたわね。大学に行って、一色を見つけたいって」
「うん、それで」
「一色って何なのって聞きましたところ、真実と言う一色だと言ってましたけど、私には何のことやらさっぱり解りませんでした。ああ、そうそう、こんなことも言ってましたわね。波紋の論理について」


