異風人

この論理を達成するには、先ず第一段階として、民を鏡面の水面にしなければならない。この水面を得るには、多色に染まっている民の過去の色を拭い去らねばならない。それには、真実を教授する大学が最短距離である。吉平にとって一つ欠けている「名を残すこと」にとっても、この手法は、最短距離なのである。三十年もの年月を要したのでは、自分自身の存命中に名を残すことができないかも知れない。コズエをどのように説得すればよいのか?神妙な顔で、吉平は、又、帰路についたのである。吉平は、平常を装って、胸を張り、山高帽子とステッキを、小夜に渡した。吉平の打ちひしがれた内心は、小夜には判っていた。コズエ様の薬が、効き始めたのであると、小夜は、吉平を優しく眺めたのである。
「小夜、コズエの言うには、大学で一色を見つけるのと、コズエの親が敷いたレールと同じであると言うんだが、どう思う?」
「そうですね、小夜にもはっきりしたことは解りませんが、コズエ様からいたしますと、ご主人様の一色と、親が敷いたレールとには、何か共通点があるのではと、思います」
「どんな共通点だ!」