それから先、コズエの波紋は、ニートに波及する。それには、四五年はかかる。小夜の言うとおり、一つのことを成し遂げ、名声を得るには、これぐらいの年月は覚悟しなければならない。今だかつて、我が教え子の中からは、名声の姿は現れていない。この「教育とは何か」という論理を構築したのは、つい最近になってからである所為であろう。
学生と、教授と言う格差は、小夜との間の格差よりも小さいからでもある。その姿が現れるには、小夜の実績からして三十年以上後である。コズエとの格差は、小夜との格差まではいっていないが、学生との間の格差よりも大きいことは、私をご主人様と言うことからして事実である。
小夜の実績を名声に載せてもよいが、「くそ親父」が気に掛かる。コズエを介して、この論理を達成することによって、ただ一つ不足していた名を残すことができるのである。吉平の純真な野心は、これで固まったのである。
「ご主人様、ご主人様の学生は一色を見つけているのですか?私は、大学に行かなくても、こうしてマンツーマンで講義を受けているけど、まだ一色が見えないのよ」
「ご尤もだ、コズエと接触してまだ日が浅い。大学に行かないでこのまま過ごしたならば、前にも言ったように、あと三十年はかかる。大学に行けば、四年で済む。更にこの時間を短縮したいのであれば、侍女として私に仕えることである。この格差によって、コズエの過去の色を拭い去らねばならぬ。そうすることによって、同じテレビのドラマを見て、私と同一の感激を覚えるようになる筈だ。いや、ならねばならぬ。その時に始めて、真実と言う一色を見つけることができるのである。あと三十年を選択するか、それとも四年を選択するのか!」
「三十年を選択すれば、五十過ぎの婆さんよね」
このコズエの発言に、吉平は、にやりとして、コズエに視線を放ち、燕尾服の襟を正したのである。
学生と、教授と言う格差は、小夜との間の格差よりも小さいからでもある。その姿が現れるには、小夜の実績からして三十年以上後である。コズエとの格差は、小夜との格差まではいっていないが、学生との間の格差よりも大きいことは、私をご主人様と言うことからして事実である。
小夜の実績を名声に載せてもよいが、「くそ親父」が気に掛かる。コズエを介して、この論理を達成することによって、ただ一つ不足していた名を残すことができるのである。吉平の純真な野心は、これで固まったのである。
「ご主人様、ご主人様の学生は一色を見つけているのですか?私は、大学に行かなくても、こうしてマンツーマンで講義を受けているけど、まだ一色が見えないのよ」
「ご尤もだ、コズエと接触してまだ日が浅い。大学に行かないでこのまま過ごしたならば、前にも言ったように、あと三十年はかかる。大学に行けば、四年で済む。更にこの時間を短縮したいのであれば、侍女として私に仕えることである。この格差によって、コズエの過去の色を拭い去らねばならぬ。そうすることによって、同じテレビのドラマを見て、私と同一の感激を覚えるようになる筈だ。いや、ならねばならぬ。その時に始めて、真実と言う一色を見つけることができるのである。あと三十年を選択するか、それとも四年を選択するのか!」
「三十年を選択すれば、五十過ぎの婆さんよね」
このコズエの発言に、吉平は、にやりとして、コズエに視線を放ち、燕尾服の襟を正したのである。


