異風人

「コズエ、フリータの話だが」
「それがどうかした?」
「コズエは、この職業で、いろいろな色を見て、自分の色を見つけたいと言ったな」
「ええ、言ったわよ」
「コズエの見つけたい色とは何か?」
「それが判らないからフリータなのよ。ニートとは違うわね。ニートって、幼稚園の園児が自分の将来を考えて悩んでいるのと同じよ。五年間生きてきた自分の人生ってなんだったんだろうとね。この先、どう展開するのか未知の世界で悩んでいるのよ。可能性は一杯あると思うけど。テレビがいけないのよ。有名人ばかり画面に登場させるから。それを見ると、誰でも悲観的になるよね。それに、有名人の種類が多いわね。芸能人やら野球の選手やらさ。そのうえ、親がレールを敷いてさ。これから芽生えようとしている新芽を摘み取ってしまうようなものだよね。それに、今はインターネット上で、いろいろな色の情報が溢れかえっているし。ニートって、この情報に溺れて、死にそうになっているのでは。私の場合、この情報に溺れないようにしているのよ」
「そうかコズエ、情報に溺れないようにするには、揺らぐことのない真実と言う一色を見つけねばならぬ。どうだねコズエ、フリータと言う職業の中に、大学という環境を交えては、いやそうすべきである。大学を否定するのは、ニートに等しいと言うべきである」
 コズエの考えに沿った吉平の講義は、なかなかの説得力を感じさせた。フリータと言う職業の中では、一色を見つけることは困難である。否、中卒の両親に育てられたコズエの「三つ子の魂百まで」を考えれば、不可能と言うべきである。小夜と同じ年月、三十年という月日を考えれば、大学の四年はたいしたことはない。そして、コズエを鏡面の水面にした上で、真実と言う石を投じなければならない。