異風人

吉平は、なるほどそうかと考えた。そして吉平は、コズエの考えとは何かについて、次のように分析したのである。小夜の言うとおり、コズエは、いろいろな色に染まる真っ白な紙である。従って、この紙は、真実と言う一色に染めることができる。フリータと言う職業は、いろいろな色を含んでいる。故に、コズエを真実と言う一色に染めるには、この色の中に、その一色を加えなければならない。そうするためには、フリータと言う職業の中に、大学という場を加えることである。コズエを、大学に導くには、もう一つ、分析せねばならぬことがある。それは、「三つ子の魂百まで」である。コズエは、中卒の父親と言う環境で育った。母親も、多分その程度であると推測する。従って、この環境には、真実とは何かと言う概念はない。この概念が備わってこそ、コズエは、フリータと言う職業の中で、その一色を見つけることができるのである。店の客は、一色ではないという事実も、この「三つ子の魂百まで」によって論理的に解を見ることができるのである。ここまで分析した吉平は、ますます威厳に満ちた光を放っていた。だぶだぶの燕尾服を着用して反り返り、山高帽子を目深に被り、馴れた手つきでステッキを操る吉平の姿は、その光の光度を更に高くしていた。雰囲気を出すために、店内は照明を落としていたが、吉平の放つ光は、本人が思うほどに店内を照らさず、かえって暗くしていた。威厳に満ちた吉平は、早速話しを切り出したのである。