異風人

高校時代にコズエは、大学受験を考え、そして悩んだ。コズエは、吉平のことをうるさい父親と重ねていた。ただ違う所は、名誉、地位と、結婚して幸せを掴んで欲しいという点である。この差異は、娘を幸せにしてやりたいという親心と、コズエに波紋を起こさせたいという、教育者としての純真な心との違いから来るものである。真実を明かせば、コズエを借りて、波紋の論理を証明し、世に名を残さねばならない野心にも似た信念が秘められている。この信念は、車中の女性に端を発している。コズエにとっては、大いに迷惑な話しで、両方とも余計な御節介である。ただこの場において、コズエは、この店の従業員であり、吉平は、この店の客である。店の売上を伸ばすには、吉平を客と思わなければならない。どんなに扱い難い客であっても、フリータとして身を置くコズエとしては、この柔軟さを会得するように心がけているのである。この柔軟さが手伝って、吉平は、常連客になりつつあり、吉平には、不思議な顧客吸引力も芽生えていた。多少押付けられた感はあるが、吉平が来る以上、この店にとってコズエは、なくてはならぬ存在になっていた。コズエの応対に、確かな手答えを感じた吉平は、満足していた。