異風人

そこには、あの車中の女性も見当らず、小夜も、主も存在しなかった。全てを捨て去った裸の自分だけが居た。立っているのでもなく、座っているのでもなく、ただ静に目を閉じている自分だけがそこに居た。この体感は、教えることもできないし、伝えることもできない。
《……、貴重な車中の女性。子を思う母の心、ホームレスに逃避した主の心。体感。》
吉平は、絵を見た。