異風人

小夜の優しい話しを思い起すと、確かに小夜の言うとおりである。我が子を愛する母親の心は、女の特権として、且つ、体感することによって生まれる。小夜のこの話しには、永年培われてきた、吉平の論理的な思考は何もないのである。
《そう言えば、主もこのようなことを言っておったな。『偉い人の話や、書物は、自分が体感した後に、ああそうか、この人も同じことを体感したのだと確認するためのものである。』『山高帽子とステッキを捨てた後でなければ、決して徒然草を見てはいけない』》