《哲学者として、言葉は、厳密にしなければならない。小夜が今ここに居れば、即座に修正してやるのであるが。車中のあの女性と、一般の若者とを明確に区別せねばならぬ。小夜は概ね私の論理に叶っている筈だ。このような単純明快なことを区別できない筈はない。もしも小夜が意識してこのようなことを言ったとすれば、小夜の言ってることは、どうも矛盾しているように思えてならない。》
今日の一日は、この矛盾で終わった。今すぐにでも書斎から抜け出て、小夜に問いただしてもよいのであるが、それでは威厳が損なわれ、且つ、小夜の言い付けにも反する。吉平は、小夜の言葉足らずであると、これはこれとして一応はかたをつけた。吉平は、次の日も、書斎の椅子に重い腰を下ろしたのである。
今日の一日は、この矛盾で終わった。今すぐにでも書斎から抜け出て、小夜に問いただしてもよいのであるが、それでは威厳が損なわれ、且つ、小夜の言い付けにも反する。吉平は、小夜の言葉足らずであると、これはこれとして一応はかたをつけた。吉平は、次の日も、書斎の椅子に重い腰を下ろしたのである。


