異風人

吉平は、大きく頷いた。主の錯乱した頭では、私の難しい質問に答えられないであろう。こちらから質問をして、逆に主を困らせればよいのかと、吉平は、考えたのである。これであれば、吉平の威厳を保つことができる。吉平の心中は、ようやく収まった。次の日、吉平は、逸る気持ちで公園に向ったのである。胸を張り、軽やかにステッキを操って歩くその足取りは、異様さは残るが、通りすがりの民が振り向くほどに軽快であった。
「居るかね」
吉平は、胸を反らせ、ステッキでビニールの扉を開ける。主は、隙間をあけて待っていた。時刻は定刻どおりの二十時である。吉平は、大きく最後の深呼吸をして中に入る。
「お待ちしておりました。さあどうぞ」