異風人

この質問に、吉平は、困惑した。主の言うように、男性は、子供を産むことはできない。困り果てた吉平は、ステッキを抱えたまま、考え込んでしまった。これを見て主は、次のように助け舟を出したのである。
「今何時でしょうか?」
吉平は、燕尾服の袖を手繰り上げながら腕時計を見て「もうこんな時間か」と、ステッキを立てた。時計は、十時を少し過ぎたところであった。タクシーで帰れば、十一時には、帰宅できる。そして吉平は、今日も疑問を抱えた面持ちで、小夜は居るかと、玄関のドアを開けたのである。吉平は、靴を脱ぎながら
「小夜、ちょっと聞きたいことがある」と、その声は興奮気味であった。二人は、応接間のほうへ歩きながら、
「なんでしょうご主人様」