異風人

「そなたの頭の中は、錯乱状態にある。無理もない。壁に突き当たって、その衝撃でおかしくなっているのであろう。彼女が私にどんな愛情を注いでくれたというのだ。くそ親父とののしられたのであるぞ!それの何処に愛情があるというのだ!それが愛情だというのであれば、世間は愛情で溢れかえっていると言わねばならぬ。教育は、不要だというのか!」
「はい、仰せの通りです」
主は、くどくどとした説明を省略し、吉平の言うことを決して否定しようとしないのである。主のこの非礼節さは、吉平を深く突刺していたのである。吉平としては、馬鹿に馬鹿扱いされた感はぬぐえない。吉平の怒りは、次第に蓄積されていった。威厳は、保たねばならぬ。その様子を見て主は、笑みを浮かべて、満足気に、吉平を見守ったのである。