異風人

「あなたは希に見る純粋なお方です」吉平は更に気をよくして、
「そのように見えるかね。あの電車の中で、くそ親父と言った女性にまで、波紋を広げねばならない。教育者として当然の義務であると確信しておる」
「その車中の女性は、あなたの名誉地位に傷をつけたのですね」
「その通りだ」
「その女性は、あなたにとってとても貴重なお方です」
「どうして?」
「あなたの波紋の論理を生ませてくれたお方です」
「彼女が?」
「そうです。私の周りにその彼女のようなお方が居れば、逃避しなくてもよかったかも知れません」
「そなたの言っていることが解らない。いや、解らないというよりも、間違って居る。私に対して無礼を働いたのだぞ!それでもそなたは、彼女を貴重な者と言うのかね?礼儀知らずである。互いの人対人のつながりで成り立っている人間社会では、礼節をわきまえねばならぬのだ。そなたを見ていると、そなたには、礼節というものが欠けている。真実についてそなたと語り合うには、この辺りから解き解さねばならない」