異風人

帰りのタクシーの中で、吉平の頭の中は、自分の論理を否定されたことへの怒りと疑問とで錯乱していた。小夜が出迎えてくれたのは、二十二時であった。
「どうなさいましたご主人様」
「例のホームレスのところで話してきたのだが、ホームレスになった理由を聞いてきた」
「どんな理由だったのですか?」
「それがのお小夜、皆から慕われ、経済的にも何一つ不自由のない快楽の生活から逃避するためにホームレスになったと言うのだよ。それに、社長と言う名誉と地位が有り、ある発明をして、勲章をもらい名を残して居る。いわば、私が欲している全てのものを取得している。そこから逃れるために、ホームレスになったと言うのだ。私には、彼が何故、逃避したのかその意味が判らない。小夜はどう思う」
「私にも計りかねます。その人と同じ境遇にならなければ、解らないし、解るように人に説明することもできません」