異風人

「そうかもしれません。自慢話しになるので、人には話したくないのですが、あえてお話します。社員は皆、私の名誉と地位にへつらい、イエスマンばかりでした。それに私は、ある発明をしてマスコミにも騒がれ、功労者として勲章をもらい、世に名を残しました。この名を残したことに、社員は一層へつらうようになったのです。最初は、優越感に溺れていましたが、このような自分に疑問を持つようになりました。そして、社長を退任したのです。これまで折角築き上げてきた社会的地位を捨てたことについて、家族や親戚、友人にいろいろ言われました。然しながら、今の自分をその人達に説明することができないのです。そのような訳で、そこから逃避することを決意したのです。あちこち放浪した挙句、先日あなたが座っていた同じベンチに座り込みました。そして、タケさんに声をかけられたのです」