異風人

吉平は、空間から抜け出て、大きく深呼吸をし、呼吸に必要な空気を精一杯吸い込んだのである。入口には、新聞紙にくるんだ物が置いてあった。多分、ケンさんかタケさんのどちらかが置いていったに違いない。危うく吉平は、踏みつけるところであった。
時計は、朝方の二時を過ぎていた。そして吉平は、公園を横切り、通りに出てタクシーを拾った。吉平は、生気を取り戻したためか、それともごみ箱から抜け出たためか、そこには、久しぶりに見る文明の息吹があった。車中、吉平は、箸にも棒にも掛からぬ主のことで頭が一杯になっていた。主に比べればコズエは、まだましである。傷みが激しければ激しいほど、その修理は、映える。コズエよりも、主のほうが近道かも知れない。吉平は、このように決断を下したのである。