「売る気はないというそなたの気持ちは十分に理解できる。これなら、小学生だって描ける。売れる訳が無い。美術大学に行ってないんだろ?」
「はい、仰せの通りです」
「道理で、絵の基礎ができていない。何事も、基礎が肝腎である。建築物と同じように、全ての物は、基礎の上に築かれるのである。絵も然りである。人間の生き方も、義理人情という基礎の上に、人間同士の繋がりが築き上げられるのである。そなたの絵を見ていると、そなたは将来名を残す大画家になる気配はない。ましてや、大学も出ていない。タケさんやケンさんが、そなたと繋がりを持つのは、大画家になる見込みがないという、そなたの将来を見越した二人の哀れみの心である。人間は、哀れみの心を持つことは必要であるが、その哀れみの心に甘んじてはならない。二人に義理を果たすには、そなたが大画家になることである。その気はないのかね?」
「そのような気は、全くありません」
「では、何故絵を描いているのだ?」
「私の絵を見てお解りの通り、私は絵を描いているのではありません。画家になるつもりもありません。売るつもりもありません。色を選ぶのでもなく、筆を運ぶのでもなく、ただ、心の赴くままに、キャンバスに色を塗っているだけです。人に見せるつもりもありません」
「そのことは、ケンさんやタケさんに話したのかね?」
「いいえ、話しておりません」
「そうであろう。このことを二人に話せば、見離されて、そなたの居場所がなくなるはずである」
「はい、仰せの通りです」
「道理で、絵の基礎ができていない。何事も、基礎が肝腎である。建築物と同じように、全ての物は、基礎の上に築かれるのである。絵も然りである。人間の生き方も、義理人情という基礎の上に、人間同士の繋がりが築き上げられるのである。そなたの絵を見ていると、そなたは将来名を残す大画家になる気配はない。ましてや、大学も出ていない。タケさんやケンさんが、そなたと繋がりを持つのは、大画家になる見込みがないという、そなたの将来を見越した二人の哀れみの心である。人間は、哀れみの心を持つことは必要であるが、その哀れみの心に甘んじてはならない。二人に義理を果たすには、そなたが大画家になることである。その気はないのかね?」
「そのような気は、全くありません」
「では、何故絵を描いているのだ?」
「私の絵を見てお解りの通り、私は絵を描いているのではありません。画家になるつもりもありません。売るつもりもありません。色を選ぶのでもなく、筆を運ぶのでもなく、ただ、心の赴くままに、キャンバスに色を塗っているだけです。人に見せるつもりもありません」
「そのことは、ケンさんやタケさんに話したのかね?」
「いいえ、話しておりません」
「そうであろう。このことを二人に話せば、見離されて、そなたの居場所がなくなるはずである」


