異風人

(6)
 吉平は、今日もコズエを探すことができなかった。吉平は、打ちひしがれた姿で、夢遊病者のようにふらふらと店をでたのである。その足取りは、時を気にせず、場所を気にせず、ステッキを引きずりながら何処をどう歩いたのかは判らない。落胆と、精神的肉体的にすっかり疲れ果てた吉平は、弱々しく一つのベンチに座り込んだのである。そのベンチは、公園の片隅にあった。その公園には人気がなく、昼間の生気を失い、かつ、薄暗かった。突っ立てたステッキに両方の掌を乗せ、その掌の上に顎を乗せ、うつむき加減に山高帽子の平面を見せて座っているその姿は、静にも映り、哀れにも映る。