そして吉平は、濃縮された大勢の若者が、テーブルを囲んでいる一つの店を見つけたのである。その店の中は、青銅でできた仏像のように濃い化粧をした女性、顔黒、山姥、茶髪、奇抜な恰好をした男女で賑わっていた。吉平は、躊躇することなく、その店に入ったのである。店に入った瞬間に化学反応を起こして、吉平はその色に完全に融合した。従って、吉平の存在には、別段の違和感もなく、無造作にかき混ぜられたミキサーの中で、影も形もなく均一にかき混ぜられて埋もれてしまった。席は既に満席であった。そして吉平は、コズエも変装をして、ここにいるのではないかと思い、店の中央に突っ立って、潜望鏡のように首をひねり、庇の奥から照らしたのである。同色の中から、同色に変装したコズエを見つけるのは、砂漠に落とした一円玉を拾うよりも難しい。砂漠の照り返りで目が疲れ、さまよい歩き疲れた吉平は、五人の青銅の女性のテーブルによたよたと相席したのである。テーブルに置かれた空の紙コップのように、そこには、吉平の存在はなかった。


