異風人

店主は、吉平を意識せず、かつ、無言のままであった。吉平は、座禅を組んだ店主と向かい合わせになっている。無言で向き合う二人の間合いには、二つの異色が複雑に融合したなんとも言い難い不思議な雰囲気を作り出していた。いや、この雰囲気は、ステッキを抱え、庇の奥から放つ異様な光がそうさせていると言ったほうがよい。往来する異色の民は、色が褪せ、虫食いの孔があいた帽子の後姿を見下ろして通り過ぎて行く。流れていく異色の民は皆、拘りを警戒して無関心を装う者、軽蔑の視線を浴びせる者、不潔不快感を露にする者、いろいろである。篩にかけられた同色の民だけが、店先に足を止めるのである。それはあたかも、この異様な光を放つ街灯の灯りに惹きつけられて集まってくる虫のようでもある。その都度、吉平は、その若者に庇の奥から光を当てた。そして、コズエもこの網に引っ掛かる可能性は高いと、吉平は思ったのである。