「私、ここが好きなの。七帝の皆が特に。
だからまた戻って来るわ!」
「…うん」
ミュリエルの笑顔と話に、アレンは小さく微笑み頷いた。
そんな彼を見て天使は微かに頬を染めたが、鈍感アレンは全く気付かない。
「…じゃあ、俺はそろそろ戻るから」
「うん、ありがとうアレン!」
魔法を解除してレイ達の元へ戻るアレンに、ミュリエルは大きくブンブン手を振った。
アレンの方が大分年下の筈が、精神年齢的にはそうは思えなくなってくる。
勇者を見送った大天使は、手を下げると側近と彼女と話す彼を見つめた。
「……最初は子供だと思ってたんだけど…、やっぱり成長していってるわよね」
そう呟いてから、「たまに見せる笑顔にキュンとキちゃう♪」とか言ってきゃあきゃあ一人で騒ぐ。
本当に一瞬で精神年齢が激しく上下する。
これがアレンが掴めない人だと感じる原因なのだろう。
「………さ、もう行かなくっちゃ。嫌でも本格的にはじまっちゃうんだから」
ミュリエルは微かに口元に笑みを浮かべると、囁き踵を返していった。
この国をしばらく出て、自分の母国に帰らなければいけない。
──…戦いの渦中に、飛び込む為に。


