レヴィオルストーリー3


そんな感じに話していると、急にアレンはグイッと腕を引かれた。


驚いてそちらを見ると、自分の腕を引っ張るミュリエルが。



「………何」


「ちょっと来て!」



一体何なんだと自分を見下ろすアレンに、ミュリエルは小さな声で囁いた。


それから唖然とするレイらを置いて、大天使さんは勇者さまを目立たない隅っこに連れて行くもとい拉致する。




「ちょ、何」


「いいから静かに!誰にも聞かれたくない話があるの、ね?」


「ね?って…」


そんな風に言われても、正直知るかという話だ。


大体声が小さすぎてちょっとしかミュリエルの言葉が伝わらない。


アレンは困ったように頭を掻くと、仕方ないと溜め息をついて少し手を動かした。




「…誰にも聞かれないようにしたから、もう普通に喋ってくんない?」


「え、ありがとう!やっぱりアレンは凄いわね。魔法のやり方勉強したの?」


「本格的にし始めたのは最近だよ。いいから話して」



急いでいた様子なのに暢気に目を輝かせるミュリエルに、アレンは若干呆れながらそう言った。


ミュリエルはハッとして頷く。


一応60を超えたヴァンヌ達より年上な筈なのだが、彼女はどこか幼いところがある。


そのくせしっかりしていたり冷静だったりして、あまり掴めない人だとアレンは感じていた。