彼は腕時計を見ていた。
それに気付いたメディンも同じく時計を覗き込み、あ、と声を漏らす。
「もうこんな時間だ」
「…ほんとですね。話しすぎました」
「そろそろ就任式の準備がはじまるだろ。行ってこい」
どうやらメディンがお暇しなければいけないらしい。
側近は少し残念そうにした後、必ず遊びに来てくださいよと変な念を押した。
言われなくても、とおおらかに笑って答えたウィスカは、ヒラヒラと手を振り彼を急かす。
が、自分を支えてきてくれた側近がある程度離れたところで、その名を呼び彼を引き止めた。
不思議そうに自分を見るその人に苦笑しつつ、最後にはとびきりの笑顔でこう言う。
「10年間、ありがとう」
「!」
その柔らかな微笑と声色に、メディンは目を見開いた。
それからふと目を細め、口許で弧を描くと頷く。
「私も、貴方様にお仕えできて本当によかったです」
「うん。お前は最高のパートナーだった」
「ふふ、光栄です」
お幸せに、そう言ってメディンは優雅に礼をした。
立ち上がったウィスカも頷いて笑う。
その笑顔を確認したメディンは、嬉しそうに目を細めると再度踵を返した。
遠くなっていくその背中を、42代目勇者は黙って見送る。
それに気付いたメディンも同じく時計を覗き込み、あ、と声を漏らす。
「もうこんな時間だ」
「…ほんとですね。話しすぎました」
「そろそろ就任式の準備がはじまるだろ。行ってこい」
どうやらメディンがお暇しなければいけないらしい。
側近は少し残念そうにした後、必ず遊びに来てくださいよと変な念を押した。
言われなくても、とおおらかに笑って答えたウィスカは、ヒラヒラと手を振り彼を急かす。
が、自分を支えてきてくれた側近がある程度離れたところで、その名を呼び彼を引き止めた。
不思議そうに自分を見るその人に苦笑しつつ、最後にはとびきりの笑顔でこう言う。
「10年間、ありがとう」
「!」
その柔らかな微笑と声色に、メディンは目を見開いた。
それからふと目を細め、口許で弧を描くと頷く。
「私も、貴方様にお仕えできて本当によかったです」
「うん。お前は最高のパートナーだった」
「ふふ、光栄です」
お幸せに、そう言ってメディンは優雅に礼をした。
立ち上がったウィスカも頷いて笑う。
その笑顔を確認したメディンは、嬉しそうに目を細めると再度踵を返した。
遠くなっていくその背中を、42代目勇者は黙って見送る。


