「な、何?」
咄嗟にアレンに庇われたレイは、彼の背中を見上げ困惑した。
見上げた彼氏の首に誰かの腕が巻き付いている。
それを認識した途端、レイは慌てて彼に抱き着くモノを見るべく前に回った。
そして、驚愕に目を見張る。
「……ヴァンヌさん!?」
──…アレンに引っ付くモノの正体。
それは、ストレートの長い長い金髪と天使の特徴の金色の瞳を持つ、ヴァンヌそのものだった。
天使でありながらノスラムシティの街長でもある彼女は、アレンにすがり付いて離れない。
騒ぎに駆け付けたマケドニスやクナル、更には野次馬精神万歳なユーリが唖然とする中、当の本人のアレンは困った顔をして動けずにいた。
「………あの、ヴァンヌ?」
「…………………。」
「……黙られても困るんだけど。そろそろ離れてくんない?」
「………ごめんなさい」
素直に謝ったヴァンヌはゆっくりアレンから離れる。
豊かな金髪がさらりと揺れた。
彼女が何で今の行動に出たのかがわからないアレンは、その金色の瞳を覗き込み様子を見る。


