しかし無情にも、魔法は止まることなく二人を包む。

ユーリは不満をぶちまけながら、そしてルネは諦めたようにイルによってレヴィオルに送られた。


すっかり静かになったその場には、アレンとマケドニスとイル、ルティの四人だけとなる。


「お前らも酷いなぁ…」

「あの二人ならわかってくれるでしょっ♪」


そう言うイルだが確実に約一名わかってくれない奴がいるだろう。

たがそんなこと気にもしていないのか、アレンは黙ったまままた歩みを進めた。

皇居から出ると、今度は自分が魔方陣を広げる。


「《移動魔法》」


されるがままの残りの面子。

アレンが瞼を下ろすと、次の瞬間には金色の文字が浮かんでいた。


「毎度のことながら綺麗な色ですね」


魔力に揺れる文字を眺め、マケドニスが感心したように言う。

勇者はそんな側近の言葉にうっすら目を開け、それからまた閉じると向かう場所を思い浮かべた。


その瞬間、感じる浮遊感。


「うわ」


移動魔法に慣れていないマケドニスとルティの声と共に、アレン達は一瞬で目的地に辿り着いた。

パンパンと埃を払ったアレンは、目の前に現れた建物を見上げる。