──…コンコン。


軽くノック。

まさかそれでは出てこないだろうが、一応強行突破する前にやっておいた。


反応がないのを確認したアレンは、ルネと顔を見合わせる。

いざ出陣と手を扉にかけ



ガチャ


「はいはーい」

「「…………………。」」



…そしてまた違う意味で顔を見合わせた。




「あらー!?アレンじゃないの!ルネまでー久しぶりねぇ」

「…………………。」

「アレンったらまた背伸びた?成長期おっそいわねぇ」

「…………………。」


しらけた目を向ける二人の反応を綺麗にスルーし、あっさり出てきた女性──ヴァンヌはにこにこと嬉しそうに笑う。

アレンは黙ってヴァンヌを押し退け、勝手にズカズカ部屋に入って行った。

あー待ってよーという間の抜けた声は無視する。


「……久しぶりだな」

「…デスティン、しっかりしろ。ヴァンヌは駄目だ」

「……ああ」


どこか疲れた感じの悪魔の男性にアレンは溜め息。

追われているというのに、なんて気が抜けているんだ。



「ふふ、座って座ってー。今お茶出すから!」


やたらと嬉しそうなヴァンヌは、突然の訪問なのにも関わらずにこやかに椅子を勧める。

アレンとルネはご厚意に甘えて座らせてもらうことにした。