──…バタン、と扉の閉まる音がした。


マケドニスがいなくなり、アレンはイルを振り返って名前を呼ぶ。

泣きはらして真っ赤な目をした彼女は、声をかけられきょとんとした。



「レイの目…本当に一瞬金色に光ったんだな?」

「う、うん…」

「………そっか」


また俯くアレン。

しかし顔を上げ王座に歩むと、腰を下ろし何かを考え出した。


そんな彼にギルクは苦笑する。


「…? 何」

「いや…あん時みたいだって思ってよ」

「?」

「…お前が一人で魔王のとこ行こうとしたとき」


ギルクを見上げていたアレンの表情が、微かに動いた。

気まずそうに目を逸らした彼に、ギルクはまた話しかける。



「アルヴェインで戦うレイを見たとき、あん時のお前みたいだって思った。それだけで人殺せそうな冷たい目してよ」


しかもクソ強えんだ、と苦笑いのギルク。

彼に視線を戻し、アレンは罰が悪そうに少し下を見た。



「…こんな形で思い知るなんて思わなかった」

「俺もだ。レイはお前を見てたからこそ、大丈夫だって勝手に思ってた」


色んな油断がこんな結果を招いてしまった。



自分の甘さを実感したアレンは、苦々しげに表情を歪める。